ストロボのWs表記って、あれって一体なんなのでしょうか?

そもそもWsってなに?

Wsは仕事量の単位

答えを先に書いてしまうと、[Ws]とはWatt Secondsの略で、1秒間にどれだけの消費電力量があるかをみることができる単位です。
いわゆる仕事量・エネルギー・熱量といわれる単位で単位時間あたりのエネルギー量を表すことができます。
仕事量・エネルギー・熱量として代表的な単位は、[J]:ジュールというものもあり一般的には、こちらを学習すると思いますが、
[Ws]はそのまま[J]としても扱える単位となっています。
この場合<熱量>で等しいという理解となると思います。

WsとWhの関係

Whも同じく、仕事量・エネルギー・熱量の単位で、単位時間が1時間あたりとなったものです。
よって、 
1Wh = 3600Ws = 3600J
となります。

ストロボ性能としてのWs

Ws表記があるのは、ジェネレーターといわれる、電力部と灯体が分かれているタイプに表示されていることが多い。
撮影スタジオなどで利用されることが多い。

写真は、Pro-10 2400 AirTTLと呼ばれるタイプ

ストロボとして、代表的なのは、ProfotoやBroncolorといわれるストロボメーカーのものが代表的で
2400Wsや3200Wsなどの表記をみることができる。

プロユーザーでも勘違いしているWs表記

勘違いしている例を挙げてみる

  • 使用電力3200Wとストロボ出力3200Wsを混同してしまっている。
  • 3200Wsの容量のストロボの場合、発光時間を0.5sの半分にすれば、6400Wが使用できると思ってしまう。
  • GN(ガイドナンバー)へ換算できると思ってしまう。

そもそも必要電力量ではない。

ユーザー勘違いの代表例ではないでしょうか。スタジオで照明を使用する場合、スタジオ毎に許容できる電力量というのもが決まっています。また各電源コネクターにも容量が決めてあるので、使用する照明などの消費電力を把握しておくのは、スタジオで作業するスタッフの常識的な知識となっています。

そういうこともあってか、
ストロボも3200Wsモデルを使用する場合、100Vだと32Aが必要だとか200Vだと16Aが必要だと勘違いしてしまいます。
実際には、消費電力とは関係ありません。
(※ストロボ出力が上がれば消費電力も上がっていくので関係性はあるのですが、
3200Ws=消費電力3200Wという関係式ではない、という理解でお願いします。)

ストロボごとに入力電源の要件(又はヒューズ容量)はメーカーごとに決められており、
Broncolor Scoro 3200Sの場合は、Power Requirementsと表記があり
230Vで16A、120Vで15Aとなっています。消費電力は公表されていません。

また、Pro-10の場合は、Profoto Pro-10 2400 AirTTLモデルを例にとると、ヒューズ容量と記載があり
230Vで16A、120Vで20Aとなっていて、消費電力は記載の電力よりも少ないことが伺えます。
公称値での実際の消費電力は最大2400Wと明記されています。

100Vで使用した場合を例に考えると、内部抵抗や配線容量などを考慮して、実用的な電力は15A程度になります。
その場合、消費電力は100Vx15A=1500Wとなります。
(機材によっては、コンセントの電源容量以上の電力を入力しようとする場合もあるので取説などはよく確認しましょう。
把握せずに使用してしまうとブレーカ落ちや、電気火災などのトラブルの原因となります。)

また出力する電力と入力する電力が近いほうが当然、効率が良いわけですから、
能力を最大限生かすことを考えると、電力容量が大いに越したことはありません。
一般的に、電気容量が多い設備を整えようとすると通常の家庭では難しいので
そういった面から、業務用途=プロ使用機材と捉えることもできます。

発光時間を半分にすれば、エネルギーを瞬間的に2倍使えるわけではない。

一例を見てみます。
1/800s で 2400Ws の能力があるストロボを見てみます。
上記の勘違いをする人は、1/800s で 2400W のエネルギーを使用したと勘違いしてしまいます。

実際は、1秒間の時間をかけて2400Wのエネルギーが使用できるのですから、
1/800s で使用したエネルギーは単純計算で 3W になります。
なので閃光時間を短くしても、エネルギーを多く使えるわけではないのです。

また実際に閃光時間を短くしていくと、能力としてWs効率も低くなっていきます。
この辺りは私の知識では語れない範疇になってしまうので感覚的なものでしかないのですが、
Profotoでは、一部スペックとして表記されているので紹介しておきます。
下記は、t0.5の場合です。

1/800(2400Ws)ー1/12000s(2.4Ws)
1/1000(2400Ws)ー1/80000s(2.4Ws)

ご覧の様に、発光時間が短くなればなるほど、Wsが小さくなっているのがわかると思います。
おそらくですが、1/80000sでもWs効率が落ちていないところが品質に直結するところなのでしょう。

GNとWsの関係

よくWsをガイドナンバーにするとどれくらいですかという話題がでます。
この質問は、わりと面倒くさいです。
というのも、ガイドナンバーはとある条件下での明るさを示す数値なのに対して、
Wsは、出力性能を示すものです。光源の種類や環境などは考慮されていませんの単純比較ができません。

一般的なガイドナンバーは、
GN = 光の届く距離(m) x F値で計算されます。
またISO感度はISO100とするのが一般的です。
ガイドナンバー表記があるのは、小型のスピードライト系の機材が多い印象ですが、
おそらくアクセサリーを使用しない生発光で使う場合を想定している為ガイドナンバーの方が利用しやすいのでは
と考えます。

一方Wsの表記のものは、大抵大出力のものが多い上に、灯体自体のアクセサリーによって
特性も変化しやすく一概にガイドナンバーで表記するには難しい部分があるといえます。
こういった理由から、環境を一定にすることが難しくWs表記になっていると理解しています。

 

まとめ

ということで、Wsについてを説明してきました。いかがだったでしょうか?
機会があれば、ストロボの光源に関して実際の画像などをみながら説明できればと思っていますので
こんな情報が欲しいなどあればお知らせください。

また、なにかご質問・ご指摘などあればお願いいたします。
誤植や間違いなどあれば、やわらかくご指摘いただると助かります^^
そして、可能な限り調べてお答えしたいと思います。

ではまた。

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