MTF曲線からみるレンズ比較 50mm篇

こんにちは、代官山スタジオ撮影部です。

今日はMTF曲線からみるレンズ比較ということでお伝えしていこうと思います。
レンズは、適度な絞りを入れると解像感が増すということを先日お伝えしました。
詳細はこちら
では、実際の性能はどうなのか、気になりますよね?

その性能をグラフとしてあらわしたのがMTF曲線です。
主にコントラスト解像度というところに着目しているグラフです。
MTF曲線とは、どういうものなのかレンズメーカー各社から解説がでていますので
リンクを張っておきます。

MTF曲線 各社説明

MTF特性の見方Canon

MTF曲線とはNikon

MTF曲線とはSIGMA

MTF曲線のポイント

本当は、「絞り開放」と「ある程度絞った」場合の2種類のグラフが示せると
一番良いのですがメーカーごとに表示の仕様が違うので、
残念ながら2つのグラフを用意できませんでした。
ですがみるポイントは変わりませんので説明しておきます。

  1. 放射方向(実線)と同心円方向(点線)の線が同じ傾向だとボケが自然
  2. 同じ線数でお互いのレンズを比較する
  3. 空間周波数10本/mmを評価する場合は、コントラストが評価されることが多い
  4. 空間周波数30本/mmを評価する場合は、解像度が評価されることが多い
  5. 適度な絞りを入れたほうが解像度が高くなることを念頭にいれる

本日比較したレンズ

  • Canon EF50 F1.8 II
  • SIGMA 50mm F1.4 DG HSM
  • Nikon AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
  • Sony FE 50mm F1.8
  • ZEISS Otus 1.4/55
  • Canon CN-E50mm T1.3LF
  • SIGMA 50mm T1.5 FF
  • ZEISS CP.2 50mm SuperSpeed T1.5
レンズ名称感想(MTFのみを見た感想)MTF曲線
Canon EF50 F1.8 II黒実線と破線(開放/10本&30本)をみると、
レンズ周辺部分(15mm~)で著しい剥離がみられる。
そのため、開放で使用する場合は、中心部分をメインにおいたほうが
よさそう。
中心部から15mmあたりまで良好なコントラストを維持して
いるが、30本線の値が全般的に低く解像度が低いと思わる。

一方、しっかり絞りをいれる(青線)とその不良な部分は一変し、
コントラスト、解像度共に高品質を維持していると思われる。
ただし中心から15mm以降のボケ味には注意を払いたい。

(クリックして拡大)
SIGMA 50mm F1.4 DG HSMSIGMAのMTF曲線には、F値が明確にしめされていません。
おそらくですが、ほかのレンズと比較してある程度
絞りを入れた場合の曲線と思われます。

Canonレンズと比較して解像感は一歩及ばない感がありますが
曲線の振れがすくなく、なだらかなに下がっている為、
中心被写体付近から抜けのグラデーションが評価できるかもしれません。

ただし、早い段階で剥離が見られるため
ボケ感は評価がわかれるレンズかもしれません。

(クリックして拡大)
Nikon AF-S NIKKOR 50mm f/1.4GNikonのMTF曲線は、開放時のグラフしかありませんでした。
その為絞ったときの予測はできていません。

レンズ中央付近から、15mmあたりまで
概ねCanonレンズに近い解像度(30本線)を示しています。
しかし早い段階で剥離(10本線)がみられる為、
良好なボケ感を得られないかもしれません。

全般的に、なだらかな曲線をしめしているので
良好なグラデーションが得られるかもしれません。


(クリックして拡大)
Sony FE 50mm F1.8絞りが開放でも、中心付近の解像感は良好かもしれません。
しかしながら、早い段階での剥離がみられるので良好なボケ感は
得られないかもしれません。

絞りを入れた場合、良好なコントラストが得られ。
解像度も一定のレベルを示している。
しかし、中心から16~20mm付近で解像度の山で出ており、その両隣を比較した
ときに、解像不足を感じるかもしれない。

(クリックして拡大)
ZEISS Otus 1.4/55ZEISSのMTF曲線は、10本,20本,40本でグラフが構成されている。

開放時において、非常によいコントラス感があり
解像度も安定している。

絞りを入れたときは、中央付近での解像度も増してはいるが、
周辺部での曲線の変動があり中心から15mm付近で
解像度が大きくおちるため、前後と比較したときに解像度不足を
感じるかもしれない。

全体的に剥離がすくなく、良好なボケ感をえられるかもしれない。

中央から5~15mmにおいて剥離が見られる為その付近のフォーカスに
注意する必要があるかもしれません。

絞りの値が低くても高品質な画を得られる為、環境対応度の高いレンズ
といえるかもしれない。



(クリックして拡大)
Canon CN-E50mm T1.3LF公表されていなかったので、海外のレンタル会社のデータを
掲載。
Canonらしい曲線を示している。
Canon EF50 F1.8 IIと比較してもかわらない品質を保っていると
思われる。

違うのは、F値が低くても同様の品質を保っており、EF50と比較して
環境対応度の高いレンズになっているとおもわれる。


(クリックして拡大)
SIGMA 50mm T1.5 FFSIGMAのMTF曲線には、F値が明確にしめされていません。
おそらくですが、ほかのレンズと比較してある程度
絞りを入れた場合の曲線と思われます。

SIGMA 50mm F1.4 DG HSMと同様にみえる。。。。
評価は見送ろうと思う。

(クリックして拡大)
ZEISS CP.2 50mm SuperSpeed T1.5公表されていなかったので、海外のレンタル会社のデータを
掲載。
Otusと比較してもその傾向はあまり似ていない。
どちらかというと、Canonレンズに近い傾向だと思われる。

こちらも同様に、F値が低くても品質を保っており、環境対応度の高い
レンズだとおもわれる。

(クリックして拡大)

まとめ

以上MTF曲線をみながら比較してきました。
いかがだったでしょうか。
もちろん、MTF曲線だけでは、そのレンズの評価をきめられません。
やはり実際にファインダーを除いて評価してみるのが一番でしょう。
カメラのボディによっても変わりますしね。

あとは、周辺減光の傾向であったり、ひずみもあったりするのでそのあたりまで
まとめて評価をしないといけないと思います。
次回やるときには、実際の画に着目した記事をかければと思っています。

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