レンズの絞りと解像の関係
レンズの絞りと解像の関係
レンズの解像度を決める要素に
- 単色収差
- 色収差
- 縦・横収差
というものがある。
そのうち絞りによってその影響が改善されるものをまとめていく。
単色収差
- 球面収差
- コマ収差
- 非点収差
- 像面歪曲
- 歪曲収差
5つに分類される。そのうち「球面収差」「コマ収差」「非点収差」「像面収差」が絞りの影響を受ける。
色収差
- 軸上色収差
- 倍率色収差
というものがあり、「軸上色収差」が絞りの影響を受ける。
説明にあたり基本的な用語の説明をしておきます。
主光線と評価面
評価面:主光線の評価面(任意)における座標を原点とする座標系をいう。
単色収差-球面収差
焦点に収束せずに前後にばらつく収差。
結像している光線があってもその前後にばらついているため、画面全体が不鮮明になる。
収差がでやすいレンズ周辺部の光線を制限する(絞りを入れる)ことにより改善する。
単色収差-コマ収差
光軸外の光源から入射した光線が像面において収束しない収差。
像が尾を引いたような形になる。
収差がでやすいレンズ周辺部の光線を制限する(絞りを入れる)ことにより改善する。
単色収差-非点収差
光軸外の光源から入射した光線で、
同心円上にある光線と放射線上にある光線とで収束しない収差。
画面周辺部に出やすく。像が羽を広げたような形になる。
収差がでやすいレンズ周辺部の光線を制限する(絞りを入れる)ことにより改善する。
単色収差-像面歪曲
湾曲したレンズにおいて、光線が光軸から離れるに従い
焦点が像面の縦軸方向(物点側又は像面側)に収束する収差。
非点収差との関係が密接で、同心円状及び放射線上の収差に差がでると非点収差となる。
収差がでやすいレンズ周辺部の光線を制限する(絞りを入れる)ことにより改善する。
色収差-軸上色収差
プリズムなどに、光を入射させると屈折して
虹のように色が広がる「分散」という現象をみなさんも経験されていると思います。
これは、光の色によって屈折率が変わることにより、
その光ごとの結像位置が縦方向にずれる収差です。
光は赤外線から紫外線の周波数特性をもち屈折率は赤より青の方が高くなります。
その為、赤の光線の縦方向-物点側に青の焦点がくることとなり、
白色光など、赤に焦点をあわせると周辺が青くボケ(後ろボケ)、
逆に青に焦点をあわせると周辺が赤くボケ(前ボケ)ます。
縦収差でもあるので、縦色収差とも呼びます。
反射角の大きいレンズ周辺部の光線を制限する(絞りをいれる)ことにより改善する。
まとめ
このように、ある程度絞りをコントロールすることにより、
収差の影響を抑えることができると理解できたと思います。
最近の光学系の発展により、
レンズ自体に収差をおさえる仕組みが採用されていますが
収差を完全になくすのは、難しいです。
また収差がそのレンズの味を出しているとも言えます。
絞りを開放にしたときに、他のレンズとくらべて収差の少ないレンズは、
コントラストが高くシャープネスの強い「硬いレンズ」だといえますし、
球面収差やコマ収差をうまく抑えて、非点収差が特徴的なレンズは、
ボケ足がきれいで「柔らかいレンズ」といえるかも知れません。
色収差もコントールすることにより、暖かいレンズであったり、
すこしいろみのぬけたくすみが特徴のレンズといった事も言えるでしょう。
次回は、その特徴を実際発売されているレンズで拾っていければとおもいます。