4K+時代の編集・エンコードマシンを検討してみる

そろそろ編集マシンに限界がきている・・・・・

うちの編集・エンコード用の主力マシンは、ひと昔前に【ゴミ箱Mac】と話題になった。Late2013モデルのMacProだ。型番を見てもらうとわかるように既に6年近く経過しているのがわかると思う。

Mac Pro 2013の仕様を詳しく紹介します。とてつもないマシンの裏側にある鮮やかな能力と、様々な構成オプションについてご覧ください。
Mac Pro 2013 – 仕様 – Apple(日本)

この旧MacProが出たときに話題になったのが拡張性に乏しいこと・・・それがだんだんと足を引っ張っている。
撮影業務の中でも、とりわけDIT分野をやっていると、収録済みファイル取り扱うことも多い。
また、カラーグレーディングを依頼されることや編集を依頼されることもある。

そういった作業の中で使用しているツールが、BlackMagicDesignのDavinciResolveな訳だが、
このツールは、GPUのパワーがほぼほぼ作業効率に影響している。

革命的な新ツールを搭載。編集、カラーコレクション、プロフェッショナルなオーディオ・ポストプロダクションを単一のアプリケーションで実現できます。
DaVinci Resolve 16 | Blackmagic Design – www.blackmagicdesign.com

拡張性の乏しい旧MacProでは、GPUの更新が非常に難しい。
I/Oも6年前となるとUSBが3.0であったりThunderbolt2であったり、HDMI1.4だったりする。
CPU周りは、基本オーバースペックなのでこの辺りがボトルネックになることはあまりない。

撮影データがなんの違和感もなく4Kになっていく中で、
(4Kが出た当初は、みんなそんな解像度いる?と疑心暗鬼だったけどw)
しらずしらずのうちに4K解像度でデータを確認できないことに暗黙のプレッシャーを感じるこの理不尽さw

また、デコード作業・エンコード作業もわりと重めのMPEG系処理をすることがほとんどだ。
幸いVIDEO I/O関連の機材は早々に4K対応しておいたのでここは、しばらく持ちそうだけど
メイン処理を行うGPUパワーが心もとないのが最近の心配事となっている。

Macなの?Windowsなの?

割とこの辺の判断は難しいと思うし、いろんな意見があるので断定しづらいが、
個人的な意見として聞いてもらいたい。

マシン環境が影響する内容としては下記の項目が当てはまると思う。

  1. 作業に必要とするマシンパワー
  2. 使用するソフト
  3. 納品形式

Macのマシン傾向

一部を除き、最初に購入したパーツ構成のまま変更することができない。
コスパが低い分、マシンパフォーマンスが安定している。
最近のモデルはモニター一体型がメインなので、ユーザー間での色環境を共有しやすい。
(最近新型MacProが出ましたね!!結構楽しみですけど・・・・お高いんですよね??w)
OSXにおいて強力なカラーマネージメントをサポートしており色管理がしやすい。
ただし、一般的な映像規格の色環境にもっていく為に割と労力を必要とする。
OSXでしかサポートしていないファイル形式が存在する。
(最近では、マルチプラットフォームのソフトウェアのおかげで解決しつつある)

Windowsのマシン傾向

メーカー販売されているPCを除き、ニーズに応じたパーツ構成を自由に変更することができる。
拡張性が非常に高い。いわゆるPC/AT互換機といわれているもの。
パフォーマンスを安定させるために専用知識が必要になる。
OSも必ずしもWindowsを選択する必要が無く、Linux系のOSなども選択することができる。
OSXのベース言語はLinuxとなっており、Linux環境だとある程度の親和性を保つことができる。
先端技術が利用できるようになる時期はこちらの方が早い。
パーツを自由に選択できることもあり、色環境をユーザー間であわせるのが難しい。

第一候補としてはMacを選択するのが吉!

ではどちらを選択すべきなのか?
コスト面をあまり考えずに済むのであればまずはMacを選んでおくのがベターだと思う。
PC/AT互換機において、編集環境でLinux環境が必要になるのはハイエンドのソフトウェアを使わない限りほぼ無いし、
OSX搭載のカラーマネージメントはとても魅力的。
マシンパワーも割高ではあるが、ある程度選択の幅があって、今必要なスペックを選べば当面問題になることはない。

その上でどうしても外せない項目がある場合は、Windows機も検討してみる、というのが良いかもしれません。

Macの3機種を比較してみる

という事で前置きがとても長くなってしまいました。。。ひとまずここでは第一候補としてのMacPCを見ていきたいと思います。
候補は3つ。
スペック順として、iMacPro  >  iMac  >>  eGpuPro + (TouchBar以降のMacBookPro)

eGpuは選択としては、どちらかというと既存PCのグラフィック機能の強化を目的とした選択。
ただしこの場合、既存PCのCPUがボトルネックとなる場合がある。

価格順も同じだが、iMacPro  の全部乗せはちょっと腹をくくる必要があるw
ということでスペックを見ていきましょう。

iMacPro

27インチiMac

MacBookPro + eGpuPro

スペック

iMacPro

CPU
Sky Lake
第6世代Xeon Wプロセッサー
8core 3.2Ghz(TurboBoost 4.2Ghz)

Sky Lake
第6世代Xeon Wプロセッサー
10core 3.0Ghz(TurboBoost 4.5Ghz)

Sky Lake
第6世代Xeon Wプロセッサー
14core 2.5Ghz(TurboBoost 4.3Ghz)

Sky Lake
第6世代Xeon Wプロセッサー
18core 2.3Ghz(TurboBoost 4.3Ghz)

Memory

DDR4 ECC最大256GB

GPU
Radeon Pro Vega 56 HBM2 8Gb
Radeon Pro Vega 64 HBM2 16Gb
Radeon Pro Vega 64X HBM2 16Gb 

I/O
27inch 5K 500nits P3
10GbE/USB3x4/USB-Cx4(TB3,USB3.1,DP1.2,HDMI?)

27インチiMac

CPU
Cofee Lake Refresh-S
第9世代core i5プロセッサー
6core 3.7Ghz(TurboBoost 4.6Ghz)

Cofee Lake Refresh-S
第9世代core i9プロセッサー
8core 3.6Ghz(TurboBoost 5.0Ghz)

Memory
DDR4 最大64GB

GPU
Radeon Pro 580X DDR5 8Gb
Radeon Pro Vega 48 HBM2 8Gb

I/O
27inch 5K 500nits P3
1GbE/USB3x4/USB-Cx2(TB3,USB3.1,DP1.2,HDMI?)

 

eGPU Pro

GPU
Radeon Pro Vega 56 HBM2 8Gb

I/O
USB3x4/HDMI2.0/DP1.4/TB3x2

 

27インチiMacを基準にしてみていく

基準となるスペック

CPUの処理能力

第9世代のCPUと第6世代Xeonプロセッサーのパフォーマンスはざっくり下記のような感じになっている。数値はコア単位ではなくCPU単位としている。

i5-9600K@37GFLOPS
i9-9900K@101GFLOPS
W-2140B@86GFLOPS
W-2150B@106GFLOPS


CPU performance – setiathome.berkeley.edu


旧MacProのCPUについては、
E5-E1680V2@69GFLOPSで上記と比較しても割と高めの性能があることがわかる。選択としてはi9以上を選択するべきだろう。

GPUの処理能力

GPUは、下記の通り
Pro580X@5530
Vega48@7987
Vega56@8960
Vega64@11060
Vega64X@12030

旧MacProは、
FireProD500@2227 x2
となっている。2枚挿しであっても性能が2倍になることはないので
概ね1.5倍程度の処理能力と考えると良いと思う。
だいたい3200GFLOPS程度かなと。
選択としては、コストバランスによると思うがVega56当たりが狙い目ではないだろか。

価格

iMacの基本構成

左記のスペックから判断して構成すると
・Core i9 8core 3.6Ghz
・Radeon Pro Vega48
・メモリー 64GB
・SSD 1TB
あたりでまとめるのがよさそうだ。
GPU性能は一番上で選択できるのがVega48なので多少パワー不足を感じるかもしれない。単純比較して2倍程度。
CPU性能は数値だけだと1.4倍程度だがXeon系ではないので精度が補償できない。安定度の面から同程度とみておくのが良いと思う。

お値段は?

さて上記の構成の場合のお値段ですが、
AppleStoreで計算すると、
¥446,000- となりました。

必要な性能を満たしているか?

現状のMacProだと4Kタイムラインがリアルタイムで再生できない。
30Pのタイムラインで、15Fps程度なので余裕をもって3倍程度の性能は確保したい。

そうした場合iMacだとパワー不足感がある。

iMacProでの構成を考える。

ということで、
概ねGPU性能3倍程度、CPU性能は同等程度ということで
iMacProでの構成を考えていきたいと思います。

iMacProでの構成

・Xeon-W 10core 3.0Ghz
・Radeon Pro Vega56
・メモリー 64GB
・SSD 1TB

CPUは、8コアでも旧MacPro以上の性能がありますが、GPUの処理性が大幅に上がっていることを
考慮してボトルネックにならないように上げておきます。
14,18coreの選択肢もありますが、クロック数対マルチスレッドの必要度を考慮すると編集機としては不要かなと思っています。
CGやCAD、などのワークには必要になってくる場面のあると思います。

物理メモリーは、リアルタイムキャッシュに影響しますが、まぁひとまず64GBにしておきます。

iMacProの価格

¥690,800- 
お高い!これより上の選択としては、グラフィックとメモリー、SSDを上げていく感じでしょうか。

40万も70万もお高いよ!?

となった時は、とりあえずの妥協案として外部グラフィックスを使用することになると思います。
外部接続する場合の考慮としてi/oによるボトルネックを極力減らす事。
つまり、現状ではUSB-Cを使え!ということ。
Apple製品の場合、TB3のコネクターと同一規格になっているのでappleの場合はTB3を使うこととなります。
40Gbpsの速度を有効活用しましょう。

BlackMagic Design eGPU Pro

想定する問題点

利用するにあたり、当社の場合はMacBookProで利用することとなります。
このあたりは予想になりますが、
・まずは安定度の問題
 i/0での常時大きなデータのやり取りが発生
 CPU処理のボトルネック
 発熱 など
・物理的な、接続安全性
 作業中に抜けたら終わりですw
 とくに撮影現場で使う場合は、神経をすり減らしそうです。
 電源まわりにも注意したいところ。

まとめ

ということで、編集マシンについての考察でした。
実際に買うかどうかの問題はまた別のお話w

新型MacProなんてモニターセットだと200万円コースになりそうだし上をみたらきりがないですね。
現状で4Kでの編集を考慮するとiMacあたりのスペックでまとめるとひとまず幸せになれそうです。
iMacなら撮影にもがんばってもっていける!w

ということで良い撮影ライフをお送りください。

シェアする