無人航空機<ドローン>と切っても切れないセンサーのお話

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ドローンと聞いたとき

DJI社が真っ先に思い浮かぶ方も多いと思います。
なぜそこまで、DJIのドローンが人気になったのか。
それは、だれでも簡単・安全に飛ばせるドローンを発売したから。
そもそも、ドローンは大きい枠組みとしてラジコン飛行機に分類されると思います。

航空機ラジコンの歴史は古く、歴史的な背景は省くとして
概ね1950年代ごろから日本では始まったとされていて、

航空機ラジコンをやっていた方は特に理解できるかと思うのですが、
不安定して飛行させるのがいかに難しいものなのかを実感していると思います。
また、その技術を競っていたという事も多少なりとも言えるのではないかと思います。
(実際うまくできるととてもカッコイイと思う!)
また、電子パーツや複雑な機構もあり、とても高価でした。

そのおかげでラジコン操縦者人口というのは、そもそもそれほど多くなく
昨今の電波法、航空法の整備、立地場所等の問題が更に拍車をかけ
減少の一途をたどっていった次第です。
特に都心部ではその傾向が顕著かと思います。
残念ながら、
根拠を示す資料がみあたらなかったのであくまでも憶測ではあります。

ですがそこに降臨したDJIは、
そういった操縦難易度・金銭的問題をほぼ無いものとし、
ドローンの特性から飛行場所の影響を受けにくいことも加えて
爆発的にふえていったと言えます。
その分いろんな問題も増えたのですがそのあたりはまた別の機会で。

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ドローンの操縦難易度の克服

さて、長い前置きは置いておき。
操縦難易度の克服という本題のところのお話です。
ズバリそれは「センサー技術の活用」です。
もちろんセンサーを活用する上で、より安価に高性能のものが開発されたという
時代背景的なところも加味するべきところではありますが。

そこを現実的に実際に、搭載し商品として実現したDJIを評価したいなと思います。

  • ドローンに搭載されている基本的なセンサーは、
    一般的に「6軸センサー」とも呼ばれる、
  • 3軸加速度センサー
  • 3軸ジャイロセンサー

の組み合わせ。

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加速度センサー

加速度センサーは、その意味のごとく加速度を検知するセンサー
上下・左右・前後に移動した機体のその時々の加速度を検知し
機体の状態を把握する。
また、加速度の検出の特性から角度も算出できるためその値も有効活用できる。
加えて加速した時間を計測し、積分計算を用いることにより、速度、距離などを求めることができる。(速度の時間微分、位置の2階時間微分は加速度)

wikipedia「運動第二の法則

このように、いかに利用度の高いセンサーかという事がわかるかと思います。

センサーの原理的には数種類ありますが、
おそらく静電容量検出方式が一般的ではないかなと思います。
(この辺は、特に調査はしていないので著者の主観によるものです。)
簡単に静電容量検出方式を説明すると、加速によって移動する可動部を電極で挟み
加速が起きた際の可動部のずれで、静電容量の変化を検出するというものです。

そんな有能なセンサーである加速度センサーですが、そうそう全てが
うまくいくわけではありません。
それは、「ドリフト」と呼ばれる誤差が存在しているということです。
このドリフトに起因する要因は様々ですが、感度、ノイズなどが主な要因です。
ドリフトが起こるとどうなるかというと、
加速している(つまり、移動している)のに加速していないと、認識してしまうということです。

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    加速センサーまとめ

  1. 検知した加速度から、角度を算出
  2. 時間積分により、速度・距離を求められる
  3. センサー原理は、静電容量検出方式が一般的
  4. ドリフトという特性がある。

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ジャイロセンサー

一方ジャイロセンサーは、ちょっとわかりにくいかもしれないですが、
角速度」を検出するセンサーです。
角速度とは、単位時間あたりに回転する角度のことで、
<速度>の<円周>版といえばわかりやすいでしょうか。
感のいい方は、お気づきかもしれませんが、
先ほど加速度センサーで、角度が測定できるとお話しました。
じゃなんで必要になるのか。それは実際の問題として、
航空機は常に移動しているため移動中の角度は正しく検出できないからです。
その為移動中でも角度が測定できるように、ジャイロセンサーを使用します。

    ジャイロセンサーは、

  • 移動中の物体が回転したときにかかる「コリオリの力」を検出します。

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コリオリ力

コリオリの力の説明で代表的な例でたとえると、台風でしょう。
地球を北極の真上からみると反時計まわりに自転しています。
低気圧が発生し北上を開始すると、
自転の影響で(みかけ上)東向き(反時計)の力が加わります。
また、同様に北上する際(低緯度から高緯度へ移動する際)
低気圧の北側(高緯度側)と低気圧の南側(低緯度側)
でコリオリの力に差ができるため(北側<南側)低気圧に回転力が発生します。
その為北半球では、反時計周りとなるわけです。

同じように、ジャイロセンサーにも「ドリフト」誤差が生じます。
ただし、加速度センサーのように静止しているときに流されていくようなことはありません。
なぜか?それは加速度センサーの存在があるからです。
先ほど、加速度センサーは移動中の角度を正確に測れないと申しました。
逆に言い換えると、停止していれば角度を割り出すことができるということです。
つまり、航空機が静止中のジャイロセンサーのドリフトは、加速度センサーから取得した
角度でリセットできる可能性があるということです。
お互いにお互いの不足を補うことができるのが6軸ジャイロセンサーといえるでしょう。

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気圧センサー

さきほども、述べたようにセンサーには「ドリフト」誤差が生じます。
影響が大きいのは、加速度センサーの「ドリフト」誤差です。
上下にも発生します。

気圧センサーは、大気の圧力を計測するものです。
地表での気圧は、1気圧とされ、約1013hpaとされています。
10m高度があがるにつれ、1hpa気圧が減っていくことになるので、
この値を使用して、高度を算出することができます。

ただし、大気は熱によって対流するものなので圧力にむらがあります。
その為他のセンサーとの共用が必須となります。

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GPS情報の取得

XY軸方向のドリフト誤差に有効なのがGPSです。
GPSの位置情報を取得して自分が流されているのか、流されている方向はどちらなのか
を計測して、補正をしていきます。

GPSを3波以上取得している場合は、高度情報を得ることができます。
ですが、X,Y情報を得るよりもZ情報の精度は悪くなります。
その為、さらなる精度向上のため次に述べるセンサーを搭載するようになってきました。

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超音波センサー

音による跳ね返りで、物体の情報をえるものです。
コウモリなどが有名ですね。
私たちの周りでは、救急車のサイレンが例としてあげられます。
救急車が近づいてくるときは、音が高く。
遠くにいくにつれて、音が低くなる。「ドップラー効果」といいます。

どのように活用するかというと、みずからが音の発生源の場合、
自分の発生する音が物体に反射して帰ってきた音を聞いたとき、音が低かったとします。
そうすると跳ね返ってきた音は、遠ざかる物体から跳ね返ってきたこととなり。
危険度がすくないといえます。

また、自分の発生した音の周波数と跳ね返ってきた時間、跳ね返ってきた音の周波数を
検知することにより、音を跳ね返した物体の相対距離・相対速度を把握することができます。

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光学センサー

光学センサーは、複数の光学センサーでとらえた画像を解析して、物体の位置情報・サイズを
把握するものです。昔から使用されている測距儀をさらにデジタルを活用して進化させたものと
いえると思います。

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DJIドローンにはすべてが満載

このようにDJIのドローンには、ほぼすべてのセンサーが搭載されています。
なので、今のように超安定した飛行を提供できているといえます。

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